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暴動の原因は?・・・ヌテラ!

2018年01月29日(月)


フランス人というとみなさんデカルトやパスカルの科学的精神や幾何学の精神、どこか冷静なイメージを思い浮かべる人が多いのかもしれません。 もっともフランス革命をテーマにしたマリーアントワネットなどの歴史や伝記を読むと、いやいやそんなことはない、どこの文化でも大衆というのはいざとなると何が起こるかわからないダイナマイトの箱のようなものだと考える方もいるでしょう。オルテガが「大衆の反逆」という本を書いていますし、それをもじったような「大衆への反逆」などという本も出ています。 とにかく大衆の反応というものは予期しにくいものがありますね。

 

それを証明したのが今回の暴動。

イタリアで生まれ、世界中で愛されているチョコレートスプレッド・ヌテラを求めてフランス国内で暴動が起きました。

 

 

フランスにはインターマルシェという大きなスーパーが国中にチェーン展開をしています。

そのスーパーが貧しい地区で一瓶4.70ユーロのニュッテラを大バーゲン70%引きのキャンペーンをしたのです。950g入りの大瓶が、1.41ユーロで買える計算です。 その結果、なんと押し寄せたお客が一つでも多く買おうと興奮しはじめ、大騒ぎになりました。しまいには取っ組み合いのけんかを始めるというありさまで、警察の出動という事件になったのです。 SNSなどでもその光景が流され、フランス人たちも現代フランスの社会でこんなことが起こりうるのかと、この事件を前にして呆然としているという状況です。

 

この騒動に関し、フランス国内では様々な意見が出ています。 私たちの社会の貧困層と豊かな層の差が広がりすぎたからであると言う人もいます。 確かに32人の最も豊かなフランス人がフランスの富の40%を所有しているという統計を出しているNPOもあります。 しかし一方で、その見解に異を唱えている人は、2008年の平均所得に比べると現在の平均所得のほうが多い、という統計をあげています。 こういう統計は読む側によほどの知識と訓練がないと、悪意があるなしにかかわらず統計にふりまわされてしまいますね。 何を基準に貧富の差が小さくなったといえるかという議論は別にして、ただ多くの人々の心の中では、不公平と不正の気持ちが大きく影を落としているという事実を無視するべきではないといえるでしょう。

 

今回のヌテラ騒動の一つの側面として、工業製品や大量生産品の多くが貧しい家庭で多く流通しているという事実を見逃すべきではないでしょう。豊かな家庭の人々に比べて教育が十分でない人々は、コマーシャルに影響されやすく、味や喜びあるいは見かけといったすべての点で宣伝の言いなりになりやすい傾向にあります。物質的・精神的な意味での欠乏により、工業製品や大量生産品が貧しい家庭で多く売れているのです。反対に、経済的に豊かな家庭では、良質で新鮮なものが使われています。単なる所得の統計ですべての人が昔より豊かになったというだけでは、こうして起こる社会のねじれが原因の暴動は説明できません。

 

1.41ユーロのニュッテラのバーゲンが引き起こす暴動を私たちは真剣に考えてみる必要があります。

ふりかえって日本でも、正規社員/非正規社員といった差別、男女の差別、あらゆる見え隠れする差別が、いつかは社会の連帯感を破壊してしまう原因になるのかもしれません。

 

 

 

 

テーマ:ヌテラ騒動、フランス社会情勢