170年ぶりマリー・アントワネットの部屋が一般公開へ

2018年05月14日(月)カルチャー 

ヴェルサイユ宮殿のはずれ、マリー・アントワネットによって作られた小トリアノンの一部が完全に修復され、5月12日に一般公開となりました。

今回、2013年以来100%ディオールのメセナで修復が完了し、1848年以来一般の人は足を踏み入ることができなかった建物を見学することが可能となりました。

 

修復されたマリー・アントワネットの部屋

このマリー・アントワネットの小部落は、人工の湖の周りに半月形で作られています。1784年から1787年の間に建設されたと考えられており、当時の流れであったイギリス風の庭園のパースペクティブがちょうどこの小部落で終わるようにできています。

王の第一建築士であったRichard Mique によって作られたものですが、当時はノルマンディーの伝統的な建物の雰囲気を持ったものが11戸建てられていました。ノルマンディーのコロンバージュ、わらの屋根、外部に設置された階段といったものが作られ、この11の建物のうち5つがマリー・アントワネットが使うために作られたものです。

非常に洗練された内部の「サプライズを秘めた藁ぶきの家」がマリーアントワネットのために用意されたのです。

外部は質素そのものですが、同時に洗練の極を究めています。建物は回廊でつながった二つの部分からできていて、一階は片方が食堂、もう一方はビリヤードの部屋です。二階は高貴の部分で、片側はもの静かなサロン、もう一方はマリーアントワネットの部屋―しかし決して彼女が眠ることのなかった部屋―となっています。

 

今回の修復プロジェクトには、2つの課題がありました。

一つは、当時の空間を再現すること。マリーアントワネットが使っていた当時の通り完全に部屋を再現することは不可能でした。なぜならマリーアントワネットの家具は、すべて革命の時に売られてしまいました。多くて20個ほどの家具が残っているだけで、記録も残されていません。

 不可能を可能にするため、専門家たちは現在残されている記録を基にさかのぼります。そこで、1811年に着目します。女帝マリー・ルイーズの時代です。

マリー・ルイーズはマリー・アントワネットの姪でナポレオン1世の二番目の妻です。彼女のスタイルはマリー・アントワネットに比べてもう少し厳格で固いものがありますが、彼女の家具は約60%がきちんと目録化されていますから、組み立てることが可能なのです。

この時代はネオクラシックといわれる時代で、古代に戻ろうという風潮の時代でした。 今回の修復は、マリー・ルイーズの時代とマリー・アントワネットの時代を融合させることが根本から目指され、1810年当時のスタイルの家具や内装を集めきるという壮大な計画になりました。

 

もう1つの課題は、堅牢度でした。女王の気まぐれで作られたこの小集落は、美しさやデザインはコンセプトにあった一流のものでしたが、長くのこるためには作られていませんでした。そこも運命と呼応しているかのごとくですね。単なる建築用の小石材と木製の壁の素地は湿気に耐えるものではありませんでした。

こうしたことが全く放置されたままでしたが、今回の改修で、建物の表面、石・レンガ・しっくい工事、建物の骨組み、屋根等々にわたる本格的な修復が歴史建造物局の建築家Jacques Moulin 主導で行われました。

 

こうして完成された部屋は、二階にある大きなサロンが特に素晴らしく、あでやかな黄色の絹が壁に張り詰められて白と金に塗られた肘掛椅子をひと際見事なものにしています。

隣の家の中のビリヤードの間の上にある小さなサロンでは、赤く縁どられた白いダマスクに覆われたゴンドラ風の椅子がトリックトラックのゲームをするテーブルと並んでいます。

ブードワールと呼ばれるこぎれいな居間では非常に明るい緑のバルダカンのあるベッドがフラゴナールの絵を彷彿させます。

この修復は伝統的な職業である高級家具師、絹職人、飾り紐・モール職人、金箔・金泥師等々の価値を再認識させるものでもありました。これらの職人たちの細部に対する情熱は目を見張らせるものがあります。

マリー・アントワネットが求めたこと、つまり時間と場所の観念を忘れる、まさにそのための部屋であり、今回の改修はその概念において成功といえるでしょう。

 

マリー・アントワネット自身は、自らが手掛けた自分の城を味わうだけの十分な時間を与えられませんでした。ベルサイユのトリアノンの庭にできたこの小集落が完成したのが1786年、その数週間後には革命で沸き立った群衆のためにマリー・アントワネットはパリへ戻ることを強いられたのでした。

この地は、マリー・アントワネットの最後の贈り物といえるのかもしれません。王家のユートピアを今日ではすべての人が楽しめるようになったのですから。

 

マリー・アントワネットの部屋見学には

一般公開はされたのですが、修復はされても脆弱な点もあるために、今でも学芸員たちは天候等が長い間に浸食してゆくのではないかと心配しています。壁は当時のもののままですが、作られた当時はマリーアントワネットの在世だけ持つように考えられて作られているため大変もろくなっています。

このため、見学はルールが課せられています。

まず、修復された床を傷めないようにし靴にスリッパを巻きます。さらに、見学は20人の小グループでなされ、ガイドがつかないと入れません。見学には以下電話番号から予約をとってください。

*マリー・アントワネットの部屋見学予約(ガイド付)

 電話番号: 01-3083-7800

 

 

テーマ:小トリアノン、マリー・アントワネット、ディオール、メセナ、改修

 

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