仏学生運動Mai68のポスターが人気に

2018年05月12日(土)カルチャー 

今年は68年の学生運動から50年目です。

その流れでなのかどうかはわかりませんが、国鉄の改編や大学の学生の改革に対するストライキがフランスの各地で起こっています。

この運動やストライキの中で、フランス各所に50年前の68年の学生運動の時のスローガンやポスターが貼られています。同時にオークション会場でも当時のポスターがたくさん競売にかけられています。

 

人気を集めるMai68当時のポスター

Matthias Jakobowicz の率いる Etude de Melun が今年の2月にやった競売が皮切りになり、Mai68ポスターの人気が高まっています。

“Continuons la grève, le capital se meurt. ” (ストライキを続けよう、首都は死んでゆく。)これが270ユーロで落ちました。

 

“ Nous sommes tous des juifs et des Allemands ” (我々はみんなユダヤ人でありドイツ人だ。)これが1500ユーロで落ちました。

 

これに続いてオークション会場の Artcurial が映画やテレビのプログラムの製作者である Laurent Storch のコレクションを競売にかけました。

彼曰く: 私は当時存在したほとんどすべてのポスターを集めたよ。 eBay はもちろんポスター屋さんや当時のポスターを保存している個人からも買ったばかりではなく、機動隊からも買ったよ。中にはどこにでもあるようなものもあるが、50点ほどは僕のコレクションにしかないものだよ。

 

60%くらいが落札されて、総計161291ユーロになりました。

最高額は ”La beaté est dans la rue. ” (美は路上にあり。) の3380ユーロです。

このポスターは、舗道の敷石を機動隊に向けて投げている女性が描かれている数少ないポスターであることと、当時のポスターがほとんどパリで印刷されているのに、これはポンペリエで印刷されているという珍しいものなのです。

5月15日には De Baecque et associés が5月15日に Drouot で学生運動のポスターの競売を開催し、250点のポスターが競売にかけられます。
当時のポスターはグラフィズムがシンプルで淡色のものが多く、1968年の5月から6月にかけての数週間の間にパリの町中の壁に張られていたものです。それらが人々の心に深く訴えたことは明らかで、それがために今日のオークションの成功をもたらしているといえます。

今日、当時およそ500種類のポスターがあったことがわかっています。 印刷はだいたい1000枚から2000枚くらいなされたようです。ほとんどのものがセリグラフィーです。
セリグラフィーのほうが新米のものにも簡単によい作品ができたからですが、その代わりオフセット印刷のように多数の印刷をすることができませんでした。 それと同時に学生たちは同じポスターを多数印刷するよりも状況の変化に応じて毎日ポスターを新しく印刷することを望んだからです。

”Nous sommes tous indésirables. ” (我々はみんな嫌われた存在なのだ。) これは Artcurial で1040ユーロで売れました。



お気づきの方も多いと思いますが、上のポスター同様、このポスターには同じ顔の男性が描かれていますね。学生運動の指導者の一人であり、現在はヨーロッパ議会の議員をしている Daniel Cohn-Bendit が描かれています。
これは Bernard Rancillac が描いたもので、ちょうどDaniel Cohn-Bendit がフランス滞在を禁止された時のものです。

有名なグルネルの合意が成立した時には、ポスター “La lutte continue. ”が貼り出されましたが、これは Artcurial で715ユーロで落札されています。


政府が6月の終わりに選挙権の年齢を下げることなく選挙をやろうとした時には、ドゴール将軍に猿轡をはめられた若者を描いたポスターが出ました。 “Sois jeune et tais-toi. ” (若くあれ、そして何も言うな。) 


これも Artcurial で715ユーロで落札されています。


この68年の学生運動の時のポスターは主に二つのアトリエで印刷されています。L'Atelier populaire と L'Atelier des Arts décoratifs です。 L'Atelier populaire ではもっぱら毛沢東主義的なものが多く、 L'Atelier des Arts décoratifs ではマルクス・レーニン主義的なものが多かったようです。


L'Atelier populaire はl'Ecole supérieure des beaux arts で生まれたのですが、その時の最初のポスターが ”U-sines, U-niversités, U-nions ” です。


これは、5月15日に30部印刷されました。


そして5月19日になると有名な “La chienlit c'est lui. ”(どんちゃん騒ぎをする男、それは彼だ。)がドゴール将軍のシルエットとともに印刷されました。

ドゴール将軍“La chienlit”という単語をよく使用してデモや社会運動がおこるたびに主導者を揶揄する時に使っていたのを、学生たちが逆手にとって引用したのです。これは3000部印刷されています。

Arts décoratifs のアトリエでも10日ほど遅れて印刷が始まったのですが、こちらのほうがもう少し衝撃的で暴力的なものが多かったようです。
ドゴールの仮面を外すとその下にはヒトラーの顔があるという有名なポスターはここで印刷されました。

68年の学生運動の時にこうしてポスターを印刷したアーティストの中にはポスターにサインをした人もいればしなかった人もいますし、のちになって自分が描いたことを認める人もいればそうでない人もいました。

これらの2つのアトリエでは毎日集会が開かれてポスターのスローガンと作品が集会によって承認される仕組みになっていました。コンセプトを考える仕事は多くの場合匿名になっていました。
こうしたポスターつくりには、Rancillac, Rougemont, Zao Wouki, Calder, Alechinsky などのアーティストたちが参加していました。

今日オークションには「フランス革命」から生まれた作品ということで多くの外国人が買いに来ているということです。

 

テーマ:Mai96、学生運動、ポスター、競売

 



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