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ブルターニュ最大の野外写真展とある議論

2017年06月05(月)


ブルターニュ地方、La Gacillyで2003年に始まったのが写真の祭典Festival photo La Gacilly。

 

この La Gacilly は、住民約2200人の小さな町です。現町長はフランスでは有名な自然派化粧品メーカー創業者Yves Rocherの息子Jacques Rocherが務めています。 

 

この小さな町La Gacillyで開かれる祭典は、現在では最も成功している写真の祭典のうちの一つで、毎年多くの人を動員しています。

 

たとえば同じように有名な「アルルの出会い」という写真の祭典では、開催中の参加者は約10万人ですが,このLa Gacilly の写真の祭典は、毎年30万人以上の人々が集まるのです。

 

この祭典の特徴は、野外で行われるということです。祭典の期間中は、町中の家々の壁が展示のための場所となり、近くの森の中もまるで写真展示の画廊のようになります。見学者たちは、朝から深夜まで、自由に写真の鑑賞ができます。

 

この写真の祭典の底流を流れるテーマは「人々と自然」です。

それに加え、毎年一つのテーマが設定され、そのテーマにしたがって一つの国をより良く知ってもらうという形で企画されます。

 

去年のテーマは、「日本と大洋」というものでした。

 

そして今年は、「わたしはアフリカが好きだ」というテーマです。

6月3日~9月20日が開催期間でまさにジャストタイムの写真展ですが、今この写真展のポスターが議論を巻き起こしています。

 

 

問題となっているのは、ここ3年以来、この写真の祭典のポスターを作っている Michel Bouvet のポスターです。

 

有名なアフリカの(オランダのという方が正確なのでしょうが)WAXを背景にローライフレックスの旧式のカメラを置いた「私はアフリカが好きだ」のロゴ。

 

 

 このポスターが、アフリカ人たちにはすこぶる評判が悪いようです。

 

 

 ステレオタイプのアフリカのイメージが今回のポスターにそのまま受け継がれているのを見て、心あるアフリカ人たちは動きました。

 

今回の祭典に参加している象牙海岸でのフランス国籍の写真家 François-Xavier Gbré は Facebook にこんな投稿をしています。

「やあやあ、おいらはサバンナで66判カメラを使って仕事をしているWAXの短パンをはいたシマウマだよ。なんだい、僕たちの仕事が、今でも多くの人々の頭にあるいくらか単純化されすぎた型にはまったアフリカのイメージをぶち壊すのに役に立つよう祈っているよ。」

 

彼らにとっては、ポスターの「私はアフリカが好きだ」という言葉ですら、かつてフランスで流行った子供たちの大好きな、しかしゆがんだアフリカのイメージを伝えかねない、BANANIAチョコレートパウダーを思い起こさせるものだということになるようです。

 

 

アフリカ人たちの心に深く根付いている植民地時代の過去の遺産というものに対する理解が不足していたことで起こったともいえるこのケース。

 

あるアフリカ人曰く: こうしてデリケートな側面のあるテーマを扱ったイベントをするときには、その企画チームのメンバーに、そのテーマに関係した人を入れておくべきなんだよ。

 

 

デリケートな歴史的遺産やトラウマ、傷ついた自尊心といったものが関係しているテーマの時には、当事者たちを企画チームに参加させ、あらかじめチームでよく議論しておく必要があります。

 

そうでないと、部外者にはわからないフィーリングのためにとんでもないドジをしてしまうという良い例といえるのかもしれません。

 

 

こうしたことをきっかけに議論となり、さらにより良い方向に進んでいけるとしたら、それはそれでアート展の力と意義と役割があるとも思います。

 

 

 

テーマ:La Gacilly、Festival Photos、文化、ステレオタイプ