エラスムスプログラムと生涯学習

2018年03月07日(水)カルチャー 

ヨーロッパ共同体の教育プログラムである“エラスムスプログラム”をご紹介します。

“エラスムスプログラム”とは?

ヨーロッパ共同体には学生・教師・教育の流動化を目的にしたエラスムスプログラムというものがあります。エラスムス=ERASMUSは、European Community Action Scheme for the Mobility of University Students のアクロニムです。

 

エラスムスは、同時に15世紀から16世紀にかけて活躍したオランダの人文主義者エラスムスも由来にあります。エラスムスは、生前ヨーロッパ中を旅して多くの異なった文化文明を見聞きして自分を豊かに成長させるとともにそのヒューマニズムを発展させた人でした。

 このエラスムスプログラムは、大きくはヨーロッパ共同体の生涯学習プログラムの一環にもなっています。 1984年の6月に準備委員会が発足していますから、30年以上前から試行錯誤されて出来上がってきたプログラムです。

 

どんな人が利用している?

このプログラムを利用しているのは若い学生が多いのですが、学びなおしの人もいます。

 再び学生生活を始めた80歳のスペイン人学生Miguel Castillo さんをご紹介しましょう。経歴がなかなかユニークで、この人なら80歳から人生二毛作の種をまき始めても少しも不思議はないという気がします。

 Miguel Castillo さんは1937年にValence の近くのLliria という町に生まれています。若いころはサッカーの選手としてそれなりに活躍して、Valence FC, CD Fabra I Coatsなどのチームのメンバーとして活躍する傍ら、サッカーで得たお金で公証人になるための個人レッスンを受けました。そしてついにはバルセローナ、ローマ、ボローニュの大学の先生になったのでした。その後独立し、公証人として輝かしいキャリアを築きました。

 しかし、75歳の時に心臓まひで病院に担ぎ込まれ、手術を受けるという大事に遭いました。

 回復した彼が言うには:

次第に体力が回復してくるにつけて私はこう考えたのです。ありきたりの老年を送るよりも、何か少し違ったことがしたいなあ、と。昔から歴史の勉強が大好きでした。そこでValence の大学に入ったのです。もう80歳近くになっていました。その後先生が、エラスムスプログラムを勧めてくれたのです。エラスムスプログラムを利用してもっと勉学を進めるとよい、とね。どうしてベローナの町を選んだかというと、私は40年前にあの町でマリアカラスが歌うのを聞いたからなんです。

 大学では彼はほかの学生と全く変わりはなくて、完全に溶け込んでしまっています。ほかの学生に助けてもらったり自分が助けてやったり、全く学生時代と同じように過ごしているようです。

 彼が言うには:

ここで私が受けている扱いはとても素晴らしいと思います。年齢は全く問題ではありません。私はほとんどすべての講義に出席していますよ。ただ、この年齢ですからね、家族との付き合いも子供や孫の数が多いので、時として学校生活のリズムを守れなくする原因ですね。子供や孫も、おじいちゃんが遠くへ行ってしまって寂しがっていますが、彼らはおじいちゃんのことを誇りに思ってくれていますよ。 もっとも学生生活を周りの若い人たちと同じように満喫しているとはいっても、さすがに、彼らと一緒にパジャマパーティーに出るのは、ちょっと奇妙な気がしますね、私の年齢では。

 年齢の垣根を越えて、多様なジェネレーションがもっともっと同じサークルで交流できるようになると、それぞれの世代の生きがいや高齢者の認知症対策にも役に立つかもしれませんね。

 

日本人はエラスムスプログラムを利用できる?

さて、このエラスムスプログラムですが、残念ながら日本人はこのプログラム自体には参加できません。EU諸国といくつかの関係諸国(例えばイギリス)の国籍を持っていることが前提となります。

ただ、フランスを中心にEU諸国は外国人留学生の豊かな受け入れ態勢がありますので、ぜひご自分にあった留学プログラムを見つけてトライしてみてください。エラスムスのように、異なる文化文明を見聞きして自分を豊かに成長させる機会となるはずです。

 

 

テーマ:エラスムスプログラム、教育、生涯学習