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フランスのライシテ(政教分離政策)とクリスマス

2017年10月10日(火)


Crèche de Noël  クレッシュ・ドゥ・ノエル をみなさんは聞いたことがありますか?

 

フランスのCrèche de Noël とは、キリストの生誕を祝して、クリスマスシーズンにキリストの話を人形で表現し、教会や市役所やデパートなどの公共の場でディスプレイする習慣のことを言います。

 

 

ファミリー層にはとても人気があり、クリスマスのシーズンを盛り上げてくれるイベントでもあります。

 

 

この伝統的な行事であるCrèche de Noëlが、シーズン前にして、今フランス国内で議論になっています。

 

その理由は、フランスにはライシテ(政教分離政策)があるからです。

フランスのライシテ(政教分離政策)が国内外で有名になったのは、イスラムのスカーフ問題ですね。

 

共和国の法律となっているライシテ(政教分離政策)により、宗教性を示すものを公共の場でこれみよがしに身に着けることが禁止になっているため、イスラム教徒の女性のブルカやイスラム教徒専用の女性用水着を公共の場で身に着けることがフランスでは議論となり、排除の対象となってきたのです。(あくまで公共の場での着用であり、自宅や自分の敷地内では自由です。さらに、イスラム教徒の格好が話題となりやすいのですが、キリスト教徒の十字架なども原則として禁止です。)

 

フランス国内で悲惨なテロ事件が起きるたびに、ライシテが拡大解釈される傾向が世論から出てきます。

 

 

こうした中、今、キリスト教の教会内は別として、イスラム教徒のフランス人、他宗教のフランス人も多く訪れる市役所等の公共の場所において、宗教性のあるCrèche de Noëlのディスプレイを展示することもいかがなものなのかという議論が巻き起こっているのです。

 

実際に、各市町村では裁判が起こり、判決がまた議論をよんでいます。

 

 すでにライシテがあるため、ライシテの下ではCrèche de Noëlは宗教性という意味では公共の場所での展示は禁止されます。

 

しかしながら、Crèche de Noëlはフランスの伝統文化であり、アート・カルチャーでもあり、長年続くイベントであるという観点からすれば、展示が可能なのではないか、つまり宗教色よりもアート・カルチャーや伝統的イベントの色が強ければ展示可能なのではないか、という意見があります。

 

実際にナントでは、Crèche de Noëlは長年年末年始にやってきたアート・カルチャーのイベントであり、宗教性よりも伝統文化のイベントであるという解釈がなされ、展示できるという判決が下りました。

 

反対にオーベルニュ=ローヌアルプでは、庁舎の建物の中での展示に関する裁判でCrèche de Noëlは禁止となりました。

 

 

みなさんがフランスのキリスト教徒の立場ならどうでしょう?

自分たちがずっと大切にしてきた自国の文化を表現することができないとしたら?

 

反対に、イスラム教徒の立場ならば?

あれだけブルカやスカーフで大騒ぎするのに自分たちの文化だからといって宗教的なメッセージの強いものを公共の場で平気で飾ってあったとしたら?

 

難しいものですが、“郷に入っては郷に従え”という一方的な押し付けではなく、共和国の法の下で論じ合い、必要ならば自分たちのカルチャーもしっかり議論にかける文化があるということは、これはまだ健全と言えるでしょう。

 

テロが続く中、今年のクリスマスシーズンはどうなることか、共和国や法の理念がどういった動きを生むのか、フランスらしさとは何か、今後も注目です。

 

 

 

 

テーマ:Crèche de Noël  クレッシュ・ドゥ・ノエル、ライシテ、宗教分離政策