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フランスのアート事情②地下鉄のミュージシャンたち

2017年06月24日(日) 

 

パリの地下鉄といえば、昔から映画にもよくあったように、駅や通路、あるいは列車の中に流しのミュージシャンたちが集う場所です。

 

しかし、毎日500万人の乗客が利用する地下鉄ですから、どうしても乗客との間、あるいはミュージシャンたちの間にトラブルが起こることもこれまでに多々ありました。

 

この状況に対し、地下鉄公団はMusiciens du Métro【地下鉄のミュージシャンたち】という制度を作ったのです。

 

地下鉄内での演奏活動を許可制にすると同時に、許可を取って活動するミュージシャンたちをサポートするという形にしたのでした。

 

 

(といいながら、許可を得ず地下鉄内で活動する人もいますが、それに対してもあんまり口うるさく取り締まってはいないようです。)

 

 

フランスでこの地下鉄のミュージシャンたちの制度ができて、今年は20年になります。

 

この20年間に、約3000人の芸術家が地下鉄公団から公認され、地下鉄の舞台で自分の芸を磨いてきました。

 

 

地下鉄の雰囲気が忘れられずにずっと地下鉄のミュージシャンとして活動を続けている人もいれば、地下鉄の中での巡り合いからメディアのスポットライトを浴びるようになってゆく人もいます。

 

プロになった人の中にも、新しい作品を作ると地下鉄の中で演奏に来ると言う人もいます。

 

彼らが言うには、

 

「地下鉄の中は、最高の場所だ。そこではみんな音楽を聞きに来るのではないから、みんな自分の心に響く音楽でなければ立ち止まって聞いてはくれないんだ。だから厳しいけど一番良い練習場なのさ」

 

 

こうした地下鉄という舞台から巣立っていったミュージシャンもたくさんいて、Ben Harper, Oxmo Puccino といった今日ではメディアで活躍しているミュージシャンもかつては地下鉄を舞台にして自分の芸を磨いていたのでした。

 

 

地下鉄公団は地下鉄のミュージシャンたち20周年を記念して、コンクールを開催します。

 

地下鉄の利用者やネットユーザーが、現在地下鉄で芸を磨いているアーティストの中で自分の気に入った人やグループにネットで投票し、上位10人を選びます。

 

さらにその中から5人が公団の組織する選考委員会によって選ばれ、有名なオランピアで歌うことができるというものです。

 

 

オランピアでのコンサートは2017年11月23日に開催されます。

 

今回の20周年記念コンクールにあたり、地下鉄公団のスポークスマンは、こういっています。

 

「現在地下鉄公団の認可を受けているのは約300人です。そのうち85人がコンクールに乗っています。できるだけ広範囲の音楽が参加できるように、ポップありロックありワールドミュージックありジャズありシャンソンありと百花繚乱の趣です。現在は既に地下鉄の舞台から巣立っていった Clément Verzi, Emji, Tété, Oxmo Puccino といった人たちも、オランピアには出場します。」

 

 

オランピアといえば歌手を目指す人ならだれもが憧れる公演舞台です。

イヴ・モンタンのオランピアでのラストコンサートは本当に素晴らしかったですね。

 

 

アートマネジメントの一番の役割は、機会を創出することだと考えます。 どんな才能も、人目に触れ、認知され、鍛えられなければ、花開きません。

 

 

地下鉄で起きたミュージシャン絡みの数々のトラブルに直面した際、地下鉄内での音楽活動を禁止するのではなく、許可制にしてメセナの役割も果たすというのは、地下公団の文化や芸術に対する姿勢がよくあらわれています。

 

 

こうしたところから、文化やアートは育っていくということを考えさせられるシステムです。

 

 

 

テーマ:地下鉄ミュージシャン、フランス、アートマネジメント、地下鉄公団